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​ビギンをつくった背景

まちの健康と個人の健康を融合させる

Aging Society先進国の日本にあって、健康なまちをつくるということ、それはどういうことか。健康とは個人のみならずまちの健康も同時に達成されるべきもので、PHM:Population Health Managementの視点から、まちの健康を良くしていこうという取り組みが提唱されている。その場合にはまちづくりや居住する地域への住民がコミュニティのメンバーとしてソーシャルインフラの当事者として、それぞれの住民が役割を共有した取り組みが求められる。

健康の定義とは

健康とはWHOの定義によると身体・精神・社会のすべての領域で健全であることとされている。新型コロナによって個人にとっての社会的な交流、特にシニア層では地域との交流の途絶による健康への影響(認知症の進行等)が示唆された。それゆえ地域コミュニティへの回帰と交流の回復が健康の質につながると考えられ、生活の土台を良くするという視点は、医療や介護の質の向上にも合流していくと考えられる。

デジタルデバイドとは

デジタルに対応できず取り残される「デジタルデバイド(情報格差)」の構造的要因
新型コロナによる社会的な活動制限下にてデジタルの活用は加速し社会はメリットを享受した一方、デジタルデバイドという視点では、日本全体としてもヘルスケアのデジタル化は他国に比して遅れをとっている状況が報告※されており、特にパブリック・ヘルスケアセクターにおいては高齢化社会を背景に、熟練した人材や予算などのリソースの不足や制度的な要因のため、変化への対応は課題に直面している。
※Accenture Japan調査レポート2022年による

デジタル化において三重苦の日本

国内では急激な高齢化と少子化の進展により地域・ケア人材へのニーズの急増が起きている状況であり、今後慢性疾患が増加していく中でそれを支えるための介護負担の増大が社会の生産性の喪失について与えるインパクトも大きい。また、日本の医療提供体制は、政府の保険制度に依存しており、医療提供を改善するためのデジタル活用や人員予算の捻出が困難である。このように、人材リソース、社会保障予算、制度の3つの領域において困難が重なっている状況である。

最後の砦となる地域活動母体の新型コロナによる停滞

これらのような現状を踏まえ、今後、公的な介護サービスを補完・代替する「互助」の社会システムの再構築が、政策レベルでも当事者レベルでも進んでいくと考えられ、既存のソーシャルインフラでの対応の限界の示唆と新たな変革による高齢化への対応が求められている。それらの互助のための包括的な連携というソフト面を踏まえ、増加する介護需要を背景に歴史的な変化として、施設整備から地域包括ケアシステムへのシフトが挙げられる。地域包括ケアシステムとは医療や介護が必要な局面においても住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援を包括的に確保するという考え方であり、地域に応じた取り組みがなされ最後の砦として運用されている。しかしながら、新型コロナにより物理的な接触が制限されたことで、必須となる医療・介護行為を除き多くの機能が停滞したため、本システムは影響を大きく被ることになった。

砦としての役割を担う地域コミュニティ

今後は介護の担い手も高齢化し介護費用も増大していく中で、機能を施設での介護等に求めるのでなく、生活システム全体の運用の中でカバーしていく必要があり、地域包括ケアや地域コミュニティを基盤としたケアのあり方へと進んでいる。またハードに求められる機能も、ソフトと連携し一体化した運用とすることで将来の変化に応じて柔軟な運用とすることが求められている。

新たなデジタル×コミュニティの姿を検証

現在、多くの自治体では高齢者が自立した生活を継続するためのサービスを効率的に提供することを目的に、独自に住民にタブレット端末を配布しデジタル活用講座を実施するなど、デジタル活用の検証が進められている。厚生労働省も一般介護予防事業への加点を年々高め、政府のデジタル田園都市国家構想基本方針においてもデジタルデバイドの解消に向けた施策が盛り込まれるなど本分野への注目は高い。一方でソフト面での整備が遅れている状況であり、デジタルデバイドの課題を踏まえた打ち手を各自治体が模索をしている状況である。これらの状況から、高齢化社会におけるデジタルを活用した新たなコミュニティモデルを求め自治体において協働研究事業にて検証を行った。

地域が育んだ地域活動とデジタルの土壌から新たなモデルを求めて

研究事業を行った三鷹市は歴史的にコミュニティ志向が強く、様々な地域活動ボランティアや行政の取り組みの蓄積による活動基盤が醸成されてきた。また、三鷹市では「みらいを創る三鷹デジタル社会ビジョン」を策定し、新たな行政サービスや市民による参加と協働のまちづくりに向けて、デジタル活用に積極的に取り組んでいる。新型コロナによって地域活動が制限される中、地域活動者(町会・サークル・ボランティア)向けのICT講座を行い、Zoomを用いたオンライン活動実施に向けた支援も行われている。また、シニア層を念頭にした地域住民向けのICT体験会も実施しており市民のデジタル活用に向けた取り組みが行われている。これらの土壌を踏まえ、市の外郭団体である三鷹ネットワーク大学との協働研究事業にて地域コミュニティのためのデジタルによるソーシャルインフラ基盤の構築に向けた検証を行った。

検証では、三鷹市の取り組みであるICT講座等受講後に、地域の受講生のフォローアップとして地域団体が独自の自主的な活動としてオンラインでの「Zoomおさらい会」という企画がなされ、70代~80代および家族の支援により時には90代の住民も参加したオンラインでの地域活動が市内で複数行われていることに注目し、新たなコミュニティ像のモデルとしての可能性を想定し検証を行った。
これらのオンラインの地域活動者や参加者(70代~80代の20名ほど)、および関連するアカデミアの研究者に対しインタビューを実施し、どのようなデジタルサービスであれば今後利用可能性があるか、利用できるかのニーズについて検討したところ、当初想定していたような生活支援インフラ・福祉サービスへの接続に関するニーズは見受けられなかったが、定期的にオンラインで自身の所属する地域やコミュニティと双方向に「つながり」会話ができるという「楽しみ」に満足しているという回答であり、コミュニティ内での会話を通じ他のオンラインイベントにも積極的に参加できたという事例も確認した。

本事例から外出や活動が制限されるシニア層がコロナ渦にありながら地域とつながることで社会的なつながりの回復が達成されていることが確認できたが、参加者の中の90代の女性においては高齢化により近隣住民が介護施設等へ転居し、地域とのつながりが持ちにくくなったものの、家族の介助で会に参加し、オンラインを初見としながらも、それを契機に実際に対面で交流し、地域とのつながりを回復したという事例も確認された。これらは、学区エリアでの取り組みの規模であり、参加者にとっては所属する地域であることの安心感と地域への愛着が参加にあたっての心理的ハードルを下げていることが考えられた。また、コミュニティの中での会話を基点として、コミュニティ内で承認された情報を取得し、さらに会のファシリテーターが奨励し、参加者に寄り添った形で進行することにより、他イベントへの参加をするなどの行動が見られた。
これらの活動は地域活動として自主的に始まり、週に1回程度開催され、毎回、まちの多様な地域人材が話し手を務めそれぞれの役割を活かしている点も継続的かつ実効的な取り組みのモデルとなると考えられた。本会のようなコミュニティへの参加のニーズが高い属性については、コロナ渦で活動が制約されているシニア層、特にアクティブシニアにニーズが高いことが、本参加者の背景やアカデミアからのインタビューの検証により示唆された。

DXによる新たな「まちのソーシャルインフラ」の構築に向けて

これらの検証から、機能している学区レベルでのオンライン交流等を基点とした活動基盤を拡張していくとともに、その基盤を育てていくことでまちの新たなソーシャルインフラになることが考えられる。既存の地域コミュニティのDXにより、リアルとデジタルを融合したオンラインコミュニティとして創出することでDXの本義である「新たな価値」をもたらすことができると考えられるが、これらのコミュニティを発展的に実現していくためには、これらのコミュニティが各地域で生まれ、交流し、効率的に運営されるようサポートするプラットフォームが求められる。そのためには、実地のICT講座に併せ、地域活動者自身のデジタル利用のハードルを下げる仕組みとして、1.各自が自分のペースに沿って学べるようなオンラインコースの仕組み、2.実践者によるシニア特有の進行ノウハウを提供するプログラム、3.活動の運営を簡易にするデジタルツールの提供、4.地域活動者や多様な地域人財、団体の可視化によって簡易に交流・講師の依頼(地域通貨等の利用含む)ができるシステム、5.コミュニティ内の情報のデータベース化等を踏まえ設計することが考えられる。また、現在活躍するまちの多様な人的資産を活用し、コミュニティ通貨などの仕組みも交え、コミュニティ内の交流による情報や運営者からの声をまちづくりに反映することで、ソーシャルインフラとして機能することが期待される。本検証を踏まえ「シニアこそオンラインを」をテーマにまちのオンラインコミュニティ創生のデジタルプラットフォームの開発を進めている。
DXは単にツールを使ってデジタル化をすることではなく、まちの特性等を分析してコアとなる価値観を中心として新たな価値やサービスを創出することである。三鷹市においてはコミュニティ活動の土壌や市民の参加と協働におけるデジタル活用の基盤があり、今回の検証で見えてきたデジタルを用いた新たなコミュニティ像の可能性を発展させ、まちづくりのインフラとして定着させ、我が国を代表するようなコミュニティ都市作りを実現していきたいと考えている。
率的に提供することを目的に、独自に住民にタブレット端末を配布しデジタル活用講座を実施するなど、デジタル活用の検証が進められている。厚生労働省も一般介護予防事業への加点を年々高め、政府のデジタル田園都市国家構想基本方針においてもデジタルデバイドの解消に向けた施策が盛り込まれるなど本分野への注目は高い。一方でソフト面での整備が遅れている状況であり、デジタルデバイドの課題を踏まえた打ち手を各自治体が模索をしている状況である。これらの状況から、高齢化社会におけるデジタルを活用した新たなコミュニティモデルを求め自治体において協働研究事業にて検証を行った。

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ビギンについて

まちの健康と個人の健康を融合させる

​アークプラニング株式会社

代表取締役/ 足立峻吾 

Shungo ADACHI,MPH

DX/Innovationをテーマとしたパブリックセクターでの政策レベルから経営戦略、およびプラットフォーム構築を通じた社会実装を強みとする。
京大発医療ベンチャー取締役副社長COO、外資系医療メーカーの法人部門責任者、医療財団の海外戦略担当等を歴任。先端テクノロジーを中心とした社会実装の分野で15年活動。京都大学大学院医療経済学分野修了。

アークプラニング株式会社について
私たちは先端技術の産業化や都市計画、およびデジタルテクノロジーを用いた情報化や経営マネジメントの分野に10年以上携わり、これらの知見を活かしDX・イノベーションと向き合い、志を待つ仲間と追及し価値を創出していきます。https://dx-planning.technology/

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